Green Transformation (GX)
環境課題への対応による企業価値創造
GX推進委員長メッセージ
菅 栄治
専務執行役員
GX推進委員長
2022年にGX推進委員会を立ち上げ、グループ内で推進する環境関連事業を一元的に管理・サポートする体制をつくりました。社員、お客さまの環境意識の高まりも顕著で、わずか1年の間で持ち込まれる案件も飛躍的に増えています。
GX推進委員会には、GXアクセラレーターと称する各部門で高い業界知識を有する社員数名ずつで構成された下部組織があり、彼らがグループ内での環境関連ビジネスの推進に向け、新規案件の企画・立案から、グループ内GX機運の醸成に向けたあらゆるサポート活動を行っています。
GX推進委員会では、GXアクセラレーターを通じ案件の推進状況を集約的に把握し、定期的にレビューを行うことで、すべての案件推進の円滑化を図っています。
案件の中にはエネルギー、化学品、プラントといった既存分野以外にも、農業、食品など様々な分野で地球環境への貢献に資する案件が数多くあり、あらためてGXの重要性を再認識いたしました。
ほんの一例を挙げますと、2023年3月期末にTOBを通して完全子会社となりました兼松サステック株式会社では、独自の保存技術を施した木材を地盤補強用の杭に用いる工法を開発し、汎用的に用いられているセメントや鉄の場合に比べ、大幅な低炭素化を実現しています。
商社は事業を興し、そこに持続性を持たせることを本分としていますが、環境保全についても全く同様と考えており、我々グループが展開する素晴らしい商材に、少しでも高い環境価値をつけることで、お客さまの満足と環境貢献への両立を図り、サステナブルな事業構築を目指して参ります。
GX推進体制
具体的な取組み
兼松サステックが展開する環境パイル工法
兼松サステック株式会社では、国産木材を有効活用することにより、国内の林業活性化および国産材の需要拡大に寄与してきました。環境パイル工法は、木材の成育過程で吸収したCO2を数十年単位で地中貯蔵し、従来工法(セメント・鋼管)に比べCO2排出量の抑制を可能にします。 環境パイル工法とは、同社が祖業時から行っている高品質な加圧式防腐・防蟻処理により、高耐久性を確保した保存処理木材を使用した地盤補強工法です。これまでに環境パイル(S)工法協会を通じて、累計棟数44,526棟、使用材積数は22万5,514㎥、12万9,820トンのCO2削減を実現(2023年6月末時点)しています。 今後も環境負荷低減技術である環境パイル工法を通じ、全国展開をしている工法協会員と共にCO2削減を目指します。
豪州Samsara Eco社への出資
兼松では、2023年、豪州の環境技術スタートアップ企業であるSamsara Eco社への出資を実行しました。 同社では、短時間にプラスチックを元の構成要素(モノマー)に分解可能とする独自の酵素リサイクル技術を有しており、 一番身近な実用例としてペットボトルを挙げますと、従来型のリサイクルプロセスでは着色や汚れなどがあるものは処理不可となりますが、Samsara Eco社の技術では不純物や添加剤を含んだプラスチックの分解も可能となります。 さらに同分解プロセスには一切化石燃料を使用しないことから、大幅に温室効果ガスの発生を抑制できるという特徴があります。
農業・食品のサプライチェーンGX
兼松は、食のサプライチェーンに強みを持ち、農家・飼料メーカー・食肉パッカー・食品メーカー・リテール/外食企業といった多くの企業さまと取引しており、この強みを活かしたGXの付加価値化を進めていきます。 具体的には、海外農家の努力による低炭素コーヒーや低炭素ポークなどの日本市場での販売促進や、植物肉などの代替食材の普及促進、牛のゲップ削減飼料の開発とそれを活用した低炭素肉の普及、食品・飼料原料産地での土壌への炭素貯留など、様々な取組みを多くのお取引先さまと連携しながら推進しています。
兼松ペトロのGX戦略
兼松ペトロ株式会社は、温室効果ガス(GHG)排出への影響が大きい熱エネルギーの供給を行う企業として、お客さまへの脱炭素化の解決策提案と、その普及を目指し、2021年に低炭素化推進室を設置するとともに、JCLPにも加盟しました。 これにより経済産業省・環境省の省エネルギー診断の補助事業者となり、各工場での省エネ診断や燃料転換と省エネ機器導入の促進とともに、バイオディーゼルを船舶用・車両用に提供するビジネスを展開しています。 今後も、他企業との協業なども進めながら、脱炭素化を含めたエネルギーのソリューション企業として取組みを深化させていきたいと考えています。
兼松では自社のGXを推進する他に、自社で取り扱う、再生可能エネルギー、省エネ設備、バイオ素材、低炭素食材、再生事業などのソリューションや、パートナーと連携し、お客様の課題に対して、最適なGXソリューションをご提案しております。
お客様の課題の整理から、戦略の立案、実行、見える化まで取り組むことで、サプライチェーンの付加価値となるような、効果的で実効性のあるGXの推進を伴走します。
事業の特色、取扱商材やコンサルティングの流れについて記載しておりますので、是非こちらをご覧ください。